西播磨の環境と景観を考える会
2025年 情報サイト
シンポジウム・報告会・意見交換会の記録です。

3月29日(土)
西播磨の環境と景観を考える会シンポジウム
代表(木村)と事務局(船橋)より挨拶と報告
いま何が問題か/何を目指していくのか
佐用町ユーカリ植樹計画
安藤 直彦 「短歌に見る佐用町の自然今むかし」泥鰌見ず蜜蜂を見ず亀を見ず
雀を見ずてそよぐ稲穂よ
歌人・宮司の安藤先生による12首を味わう
林 幸一郎 「日本の自然を守るために」
~森の形を知る~
日本自然保護協会/日本生態系協会/
兵庫生物学会
梶本 宏「山奥で始まった山林整備・楽しい仲間たちと里山遊び」
笑顔で入って行ける山々に、子供たちの声が樹神するような古き良き日本の山々を
私たちがほっと出来る故郷の山々を、再生していける事に力を尽くしていきたい。
佐用町にユーカリ植樹計画
当会より2024年2月「佐用町」「東京農工大学農学部」「ジャパンインベストメントアドバイザー」の三者に対して、署名活動を踏まえ 質問/勧告/指摘 をまとめ送った文書です。早生樹林業の展開にあたり、外来樹種のユーカリを選択肢から外すことを要望・勧告しました。
国際林業研究センターの報告(2005)「早生樹林業 -神話と現実-」
Center for International Forestry Research: CIFOR
Christian Cossalter and Charlie Pye-Smith 著/(京都大学大学院農学研究科 訳)
【次の通り調査研究の結果が示されています】
早生樹植林のために大面積の天然林が伐り開かれると生物多様性の消失が起こる。
オーストラリアの在来ユーカリ樹種による植林地は、豊かな生物多様性を維持している。この生態系に含まれる動植物は植栽されたユーカリとともに進化してきたからである。しかし、同じユーカリが他の熱帯地域に単一樹種植林として植えられた場合、下層植生は非常に貧弱か皆無となり、保持できる動植物の種数も激減する。
植林を造成すれば必ず水循環の変化が起こる。早生樹植林地では、すぐに天然林よりも多くの水を保持するようになり、結果的に下流域に住む人々が利用可能な水を減少させる。
早生樹を大面積で植林することは、景観や環境だけではなく地元社会にも影響を及ぼす。植林事業が地元社会に並々ならぬ苦難を強いることがあるのは事実である。

国内外より 事例・報告
【動画資料】
英語ほかの言語の動画は下記の通りに翻訳機能をご活用ください。

【ユーカリ植樹に賛否】町の狙いは『放置される森林に…早く育つユーカリ植えて建材や燃料に』一方で住民は『全国で杉やヒノキは失敗』『生態系への影響は?』【MBSニュース特集】(2024年3月15日)
【ポルトガル 燃えるユーカリ林】
France24による報告。2017年6月、10月に50万ha以上が消失する大規模森林火災が発生、120人が死亡。ユーカリは18世紀にオーストラリアから輸入。ユーカリの樹皮は火災の強さで燃えると火花を散らし数百メートル離れたところに飛び散り新たな火災を生み制御不能になる。
【ユーカリと森林火災の危険】
ユーカリは非常に燃えやすい木であり、山火事が発生しやすい地域に植えると特に危険。ユーカリは可燃性の高い葉と樹皮を地表に落とす。地表で火事が発生すると火は簡 単に樹冠に達し、より高温で危険な火災になる。地面に落ちた葉と樹皮を定期的に掃除する必要がある。
【エチオピア 土壌と生態系の崩壊】
ユーカリは増殖し現代に至り生態系は崩壊し土壌は荒廃した。60万本の在来種を(再)植樹して生態系の回復また、国立公園の機能を整えて現代に至る。この面積を回復させるにはおよそ40年従事したボランティアは15,000人を超えている。
最新の活動状況はこちらのFBページに報告されています。継続して在来種の(再)植林活動が行われています。
【オーストラリアのユーカリと森林火災】
現地在住の方が火災で生き延びるユーカリの生態、頻繁に火災が発生するオーストラリアの現状を分かりやすく解説しています。
【オーストラリア森林火災 たちまち燃え広がる】
BBC News Japan による報告。延焼の速さ、甚大さが映像に収められています。
【米国カリフォルニア 強風によるユーカリの倒木】
CBS 8 San Diego による報告。ユーカリが強風により倒木し、被害をもたらした。
【ケニアからの報告 ユーカリ林が湿地や川を枯らしていると警告】
KTN News Kenia による報告。生態系また地域の人々の生業・農業への影響。
【米国カリフォルニアからの報告 】
CBS News Bay Area による報告。ユーカリが火災を引き起こす仕組みと、これを伐採する努力また困難さ。16,000本のユーカリを伐採しようというプロジェクトがある。
【インドからの報告 】
インド FLAME University による報告。生態系への影響、台風による倒木、火災の危険性など一連の負の影響を確認しつつ、オイルや薪によって生計をたてる地域があることを報告。ユーカリ林が形成されこれに依存する特定のグループが生まれた場合には、対立関係が生まれ、伐採して本来の生態系を取り戻す試みが困難となることを示唆している。
【ブラジルからの報告 】
Global Justice Ecology Project による報告。ブラジルにおけるパルプ材を生産のためのユーカリ大規模植樹により生態系また生活を脅かされ続けてきたことを振り返りながら、現在進もうとしている遺伝子組み換えユーカリの植樹に対する反対運動を展開している。さらに成長が早い収穫までの時期が短縮させる樹種または除草剤耐性を持つ樹種を「創る」試みがあるのではと指摘されている。